協議離婚とは,夫婦が協議して離婚をすることを決め,離婚届を提出する方法です。厚生労働省の統計によると,離婚の9割弱が協議離婚によるものだそうです。
協議離婚は夫婦で話し合って離婚をするわけですので,離婚することや離婚の条件について夫婦で合意ができなければ成立しません。夫婦の一方が離婚を望んでも他方が拒めば成立しませんし,離婚する考えは一致していても離婚の条件がまとまらなければ,やはり成立しません。
この離婚の協議に,弁護士は代理人として関わり,相手方配偶者と交渉することができます。
協議したがまとまらない場合,または,そもそも協議ができる状況ではない場合には,②調停離婚を考える必要があります。
離婚が協議でまとまらない場合は,家庭裁判所に夫婦関係調整調停(離婚調停)の申立てをします。申立てをする裁判所は,原則として,相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。
④裁判離婚を希望する場合でも,まずは調停を申し立てる必要があります。
調停では,家庭裁判所の調停委員会が夫婦の間に仲立ちして,双方の話を聞きます。そして,誤解や感情的な行き違いがあれば解消に努め,公平な立場から解決に向けての助言や考え方を示します。このように,調停とは,双方に歩み寄りを求めるなどして,当事者間で離婚に関する合意ができるように促す手続です。
調停委員会は,男女1人ずつの調停委員と裁判官で構成されます。調停では,調停委員が夫婦双方から個別に話を聞きます。調停委員を通じて相手方の主張を聞く方式を取ることが多いため,夫婦が面と向かって話し合いを行うことは基本的にありません。
調停は,基本的に話し合いの手続です。当事者間で離婚に関する合意ができなければ離婚は成立しません。その意味では協議離婚と同じです。
しかし,調停手続では,以下のようなメリットがあります。
調停手続において,弁護士は,代理人となり,ご本人の言い分をまとめた書面や有利な資料の提出を行うことができます。また,調停の場にもご本人と共に出席することができ,代わりに発言をしたり,調停の場で常に助言をすることなどができます。
調停での話し合いをしても,合意が成立する見込みがない場合には,調停は不成立となり終了します。その後の解決のためには,④裁判離婚を検討することになります。
離婚調停が成立しなかった場合には,家庭裁判所に離婚訴訟を提起します。調停の場合は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要がありますが,訴訟の場合には申し立てる側(原告)の住所地においても申し立てることができます。
離婚訴訟は,協議離婚や調停離婚とは異なり,裁判所が判決をして強制的に判断をすることができる手続きです。
離婚裁判では,離婚を求める側(原告)は,訴状を提出します。訴状には,請求を理由づける事実を具体的に記載し,かつ,立証を要する事項ごとに,当該事実に関連する事実で重要なもの及び証拠を記載します。自分の主張を裏付ける証拠も提出する必要があります。
離婚を争う側(被告)も,請求棄却を求める理由を具体的に主張し,根拠とする証拠を提出しなければなりません。
離婚訴訟では,弁護士は訴訟代理人となり,本人にかわり必要な主張や証拠の提出を行うことができます。また,調停とは異なり,訴訟では,代理人のみが出席すれば基本的に手続きを進められることから,裁判所に行く労力を抑えることができます。
なお,先ほど,裁判離婚は,裁判所が判決をして強制的に判断をすることができる手続きであると説明しましたが,裁判においても,双方が主張立証を尽くしたあと,裁判所が間に入って話し合いが行われ,判決によらず和解で離婚が終了することが多くあります。実際に判決に至る事件は全離婚事件の1%程度です。そのため,裁判となった場合でも常に判決で離婚となるわけではありません。
家庭裁判所の判決の内容に不服がある場合には,高等裁判所に控訴を提起して審理を求めることができます。高等裁判所は家庭裁判所での審理の結果を前提にこれを補う形で審理を続けますが,ここでも判決によらず和解により事件が終了することが多いと思います。高等裁判所の判決に不服がある場合には,最高裁判所に対して上告することができますが,上告に該当する事由は限定されています。
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